坐骨神経痛Ⅰ(梨状筋症候群その②)
前回の梨状筋症候群その①では梨状筋症候群の概要と一般的な対処法について説明しました。
今回は梨状筋症候群の具体的なセルフケアと、実際に当院で行っている施術について説明していきます。
Ⅰ セルフケア(ストレッチ)
梨状筋が硬くなることによって神経を圧迫しお尻が痛い、下半身が痺れるなどの坐骨神経症状が出現します。
症状の改善や予防のためのセルフケアとしてお尻や太ももの裏側のストレッチは重要です。
1 お尻のストレッチ
梨状筋はお尻の深い場所にある筋肉です。ここが硬くならないようにお尻のストレッチは重要です。
リラックスしながら行う方が効果が高まります。
今回は座って行うストレッチを2つご紹介します。
① 下の写真は足を片膝に乗せて上半身を倒しています。ポイントは胸を足先に近づけるイメージで上半身を倒していきます。これにより骨盤が前傾し、より効果的にストレッチが行えます。
② 次の写真のストレッチは片膝に足を乗せた後、膝を反対の胸に近づけていきます。ポイントは体を丸めないことでこれも骨盤を前傾し効果的にストレッチを行う上で重要なポイントとなります。
2 太もも裏のストレッチ
太ももの裏の筋肉の柔軟性が低下することによって骨盤は後傾方向に引っ張られます。それにより股関節は外旋(ガニ股)のような姿勢になっていきます。
このような姿勢が続いてしまうと梨状筋は短縮し硬くなってしまうため太もも裏のストレッチは重要です。
太ももの裏のストレッチはシンプルで膝を伸ばして座り足先に向かって上半身を倒していきます。ここで重要なのはモモの裏の筋肉は内側、外側とあるので足先の方向を写真の真上以外にも内側、外側と方向を変えることで効果的にストレッチすることができます。
Ⅱ 当院の施術法
1 鍼
梨状筋症候群では図にあるような梨状筋や坐骨神経に鍼を行い通電していきます。
目的としては梨状筋の柔軟性改善や、圧迫された坐骨神経の炎症改善、疼痛閾値を高める(痛みを感じにくくさせる)ことです。
神経の近くに鍼がある場合に足先の筋肉まで動くことがあり、初めて鍼の治療を受ける方は驚きますが、施術後の痛みの改善にとても効果的です。
そのほかお尻だけではなく、モモの裏や足首付近にも鍼施術を行うことがあります。これは坐骨神経が腰→尻→モモ裏→膝裏→足部と走行しているためです。
小さい×が梨状筋 大きい✖が坐骨神経
2 トリガーポイントマッサージ
お尻の梨状筋の部位や坐骨神経の通り道に痛みがある際に痛い場所だけではなくお尻の外側などのマッサージを行うことがあります。これは痛む場所とは違う部位が原因で痛みが出現している場所(トリガーポイント)を施術しています。
特に小殿筋、中殿筋などのお尻の外側や腰方形筋などの腰の外側などがトリガーポイントとなっていることが多く、問診と検査をしっかりと行い施術をしていきます。
3 ストレッチ指導
セルフケアの項目でも書かせていただきましたが、梨状筋症候群の改善や予防にはストレッチが重要です。
しかし、そもそも全身の筋肉の柔軟性が低い人の場合にはセルフでお尻を効果的にストレッチすることが困難です。 そのためリラックスして余計な力が入らないようストレッチを受けていただき、お尻などの筋肉の柔軟性を改善していきます。
4 姿勢、動作指導
梨状筋が原因の坐骨神経症状は普段の姿勢も関係してきます。
例えば座ってPC作業をしている方は腰と背もたれの間にクッションを入れることで骨盤が立ちます。それにより股関節が外に開かなくなりお尻の筋肉が硬くなりにくくなります。そのほかにも姿勢で気をつけるポイントは様々あり、当院では丁寧な問診を行い日常動作の中で気をつけることや、改善が必要なポイントなどをお伝えし、負担の少ない体の使い方の指導なども行なっています。
5 物理療法
干渉波治療器、低周波治療器などの電気療法やホットパック、マイクロ波などの温熱療法、アクアタイザー(ウォーターベッド)などを補完的に適宜使用し痛みの緩和を促進します。
Ⅲ まとめ
梨状筋症候群は痛くなる前のセルフケアが非常に重要となります。
当院では鍼灸やトリガーポイントマッサージによる施術のほか、痛みが出る前の予防法や、体に負担の少ない姿勢や動作の指導も行なっております。梨状筋症候群やその他の症状でお悩みの際はお気軽にご相談ください。
Copyright © 2018-2021 大森山王にある山王鍼灸整骨院