変形性膝関節症Ⅱ
1 はじめに
変形性膝関節症Ⅰでは変形性膝関節症の概要について説明しました。
今回は変形性膝関節症に対してのトレーニングの重要性と当院で実際に行っている治療例をご紹介します。
2 変形性膝関節症の改善はトレーニングが大切!
変形性膝関節症の症状の治療にはトレーニングが重要です。
当院での変形性膝関節症の施術実績を振り返ると筋トレの意識を持っていただける患者様の方が痛みの改善例が圧倒的に多いのが事実です。
痛みによって動かすことが億劫になると下半身の筋力は低下していきます。
筋肉が低下すると関節を支える力が弱まり、膝の安定性が損なわれ関節に負担がかかってしまい疼痛が増強します。
その結果さらに体を動かすことが億劫となり痛みを強くしていき図のような負のループに陥ってしまいます。
3 当院は整体、鍼治療、トレーニングのハイブリット治療
トレーニングが大切と言われても痛ければ動かすことはできません。
そこで当院では鍼治療やトリガーポイントマッサージによって膝周囲の痛みを軽減し、まずは痛みを伴わないトレーニングから行っていきます。
痛みを軽減しトレーニングを行う。その結果筋力が維持され関節が安定し痛みが減る。さらにトレーニングが続けられる。という好循環となるように患者様の手助けをさせていただきます。
4 当院の施術例
① 鍼
痛みを軽減することが変形性膝関節症の治療には重要です。
鍼を痛む部位やその周辺の筋肉に刺入し、通電することによって膝の痛みを改善しトレーニングやストレッチをしやすい状態にしていきます。
② 置き鍼(円皮鍼)
当院では円皮鍼(シールの鍼)で施術することがあります。
シール状の鍼を膝周囲のポイントに貼ることにより低刺激が続き閾値(痛みの感じにくさ)を改善します。
③ トリガーポイントマッサージ
膝周囲のどの部に痛みの根源があるのかを問診と検査によって判別し効果的にマッサージを行なっていきます。
今までの施術実績から時には膝以外の部位にトリガーポイントがある場合もあることも知っておいてください。
トリガーポイント療法は痛む場所(この場合は膝)とは違う部位(トリガーポイント)に痛みの原因があり、そのトリガーポイントを施術(鍼やマッサージ)することで膝の痛みを改善することをいいます。
④ 電気療法
電気刺激で筋肉を振動させ筋血流量を改善します。
5 自宅でできるトレーニング
変形性膝関節症の予防と改善には関節内の循環改善、筋力強化、筋肉の柔らかさを保つことなどが重要となります。
特にトレーニングでは下の図にある大腿四頭筋の筋力を維持することが膝の安定と血流改善には重要となってきます。
① 動的ストレッチ
まずは膝関節内の循環をよくすることが必要です。
② 静的ストレッチ
膝裏の隙間が小さくなるように膝関節を伸ばしていくイメージで膝裏を伸展します。
膝が完全に伸展できなくなると歩幅が狭まり、いわゆるべた足歩行になりがちなので、膝だけでなく腰痛や肩こりの原因にもなっていってしまいます。
写真のように膝蓋骨を圧迫しないよう膝蓋骨より上位の太腿下部を押してください。
③ 筋力強化
変形性膝関節症の予防に重要な大腿四頭筋のトレーニングとして「大腿四頭筋セッティング」というトレーニングが有効です。
この筋トレは関節に荷重をかけずに筋力を強化できるので、軽い痛みであればトレーニングも可能なので、ファーストチョイスとしておススメです。
大腿四頭筋の中でも膝関節の安定や完全伸展に重要な内側広筋が簡単かつ効率的に鍛えられるのもよい点です。
膝裏をできるだけ伸ばし足首を手前に曲げ大腿四頭筋の内側の内側広筋を意識して5秒から10秒(症状や筋力の程度に個人差があり)力を入れてください。
また、足の向きが真っすぐ向くよう心がけてください。
6 まとめ
変形性膝関節症は40代以降、多くの方に発症します。
痛みがひどくなってしまい日常生活に支障をきたすようになるまで進行してしまうと悪化し続ける負のループに陥ってしまいます。
症状がひどくなる前にトレーニングなどの日頃のケアによって痛みの出にくい体づくりや早期の治療開始が大切になってきます。
当院では鍼灸やトリガーポイントマッサージによる施術のほか、登山やマラソン、ラグビー、野球、バドミントンなど運動経験の豊富なスタッフが変形性膝関節症に対するトレーニングやセルフケア指導も行なっております。 変形性膝関節症などの症状でお悩みの際はお気軽にご相談ください。
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