手首の腱鞘炎(ドケルバン病)Ⅱ

ドケルバン病

前回の手首の腱鞘炎Ⅰでは腱鞘炎の概要と対処法について説明しました。

今回はドケルバン病の症状と、実際の当院での施術について説明していきます。

1 ドケルバン病の症状、部位

親指の付け根の側面の腱鞘炎(下図)は、腱鞘炎の中でも最も多い部位でドケルバン病と呼ばれています。

特に小さな子供を抱っこすることの多い方は、この部分に痛みを感じることが多く見られます。

図の丸部分は短母指伸筋長母指外転筋という二つの筋肉の腱とそれを覆う腱鞘で構成され、そこに摩擦が生じ炎症が起きることで痛みが出ると言われています。

2 ドケルバン病の簡単な確認法

この部位の状態を確認する簡単な方法としてフィンケルシュタインテストという確認法があります。図のように親指を握り込んで小指側に手首を曲げます。その際に親指の根元に痛みがある場合は陽性で腱や腱鞘に炎症が起きている可能性があります。

3 当院での施術例

① 鍼

腱鞘炎で実際に痛い部位だけではなく、短母指伸筋、長母指外転筋に鍼を行います。

これらの筋肉が硬くなってしまうことで指や、手首の筋肉や腱の動きが悪くなり腱鞘炎の症状を悪化させてしまうのを防ぐ目的で行います。

② 置き鍼

当院では円皮鍼で置き鍼をすることがあります。

当院で使用しているシール状の鍼は目に見えないほど細く、短い鍼が先端についているシール状のものを痛みのある腱鞘部や手首周辺に貼ります。

痛みの緩和、循環の改善を促し腱鞘炎の症状を軽減させます。

貼っていることを忘れるほど痛みがなく、1日中刺激できるので腱鞘炎には有効な施術です。

③ トリガーポイントマッサージ

手や指などに痛みがある際に痛い場所だけではなく肘周囲や前腕のマッサージを行います。

これは痛む場所とは違う部位が原因で痛みが出現している部位(トリガーポイント)を施術しています。

特に前腕の肘に近い部位がトリガーポイントとなっていることが多く、問診と検査をしっかりと行い施術していきます。

④ テーピング

痛みの強い場合は親指と手首の安静を保つことと、手首の負担を軽減すること、炎症を鎮めることなどの目的で親指から手首にかけてテーピングをします。

⑤ 超音波治療

腱と腱鞘の摩擦によって微小損傷したか患部の修復を促す目的で超音波治療を行うことがあります。

ただし、急性期の炎症が強い場合は行いません。

⑥ ストレッチ指導

手首や指の筋肉は肘まで伸びています。そのため前腕の筋肉のストレッチが重要です。

ポイントは2つ。

・肘をしっかりと伸ばすこと。

・手首を曲げる、反らすを指先まで意識してストレッチを行います。

また指や手首の痛みの原因は日常の体の使い方の癖によって引き起こされている可能性もあります。

例えばPC作業のキーボードの位置やお子さんの抱っこの仕方などで負担がかかりやすい方法をとっているかもしれません。

当院では丁寧な問診を行い日常動作の中で気をつけることや、改善が必要なポイントなどをお伝えし、負担の少ない体の使い方の指導なども行なっています。

4 まとめ

手首や指は使用頻度がとても多く負荷がかかり続けています。そのため腱鞘炎などの症状は発症してしまうとなかなか痛みが軽減しません。

そのため痛くなる前のセルフケアが非常に重要となります。

当院では鍼やトリガーポイントマッサージによる施術のほか、痛みが出る前の予防法や、体に負担の少ない腕や手の使い方の指導も行なっております。ドケルバン病など腱鞘炎の症状でお悩みの際はお気軽にご相談ください。

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