腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症

足がしびれる、痛い、重だるい、長く歩けない!

それは腰部脊柱管狭窄症かもしれません!

1. 腰部脊柱管狭窄症とは

脊柱管は、背骨の中にある神経の通り道のことを指します。

この脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されることで痛みやしびれが生じるのが「脊柱管狭窄症」です。特に腰の部分で発生することが多く、「腰部脊柱管狭窄症」と呼ばれます。

脊柱管が狭くなる主な原因は、加齢による骨や靭帯の変性です。年齢とともに背骨の変形が進み神経が圧迫されやすくなります。

姿勢の悪さや重いものを持つ習慣、運動不足なども発症リスクを高めます。

そのためデスクワークが多い方や、重いものを持ち上げるなど腰に負担がかかる職業の方は注意が必要です。

脊柱管狭窄症は多くの方に影響を及ぼす疾患です。ある製薬会社が2010年に実施した調査では、国内の腰部脊柱管狭窄症の推定患者数は約240万人とされています。

また、症状により生活の質が低下するケースも多く、約14%の人が「外出しなくなった」と回答し、さらに約15.3%の患者さんが「消極的、憂鬱になった」など、精神的な苦痛を訴えています。 

2. 代表的な症状

脊柱管狭窄症の代表的な症状は、以下のようなものがあります。

① 腰の痛み

立っていると腰に強い痛みを感じることがありますが、前かがみになると楽になることが多いです。

自転車に乗ったり、買い物のカートを押している時などは、背中が丸まる前傾姿勢になることで脊柱管の間隔が広がり症状が軽減することが多いとされています。

② 間欠性跛行(かんけつせいはこう)

歩いていると次第に足に痛みやしびれが現れる歩けなくなってしまいます。

そんなとき、前傾姿勢で座って休むと症状が緩和し再び歩くことができます。

このことを間欠性跛行といい腰部脊柱管狭窄症の特徴的な症状です。

③ 足のしびれや痛み

特に太ももやふくらはぎ、足先にかけてのしびれや痛みが現れやすいのが特徴です。

③ 足の力が入りにくい

神経の圧迫が強くなると、足に力が入りにくくなり、転びやすくなることもあります。

つま先が上がらずちょっとした段差でつまずくことが多くなります。

これらの症状は、初めは軽い違和感程度でも、進行すると日常生活に支障をきたすほど悪化することがあります。

④ 足が攣りやすい

症状が慢性化すると足が攣りやすくなります。

3. 一般的な対処法

脊柱管狭窄症を悪化させないためには、日常生活での工夫も大切です。

① 無理な姿勢を避ける

長時間の立ち仕事や中腰の姿勢は、腰に負担をかけるため注意が必要です。

デスクワークの場合は、1時間に1回、1分でも良いので体を動かすなど、こまめに休憩をとるようにしましょう。

③ 適度な運動を取り入れる

ウォーキングやストレッチなどの軽い運動を行い、筋肉の柔軟性を保つことが大切です。

トレーニングでは背中の筋肉をつけると良いと考えがちですが実はお腹の筋肉を鍛えていくことで腰の負担を減らし症状の悪化を防ぐことができます。

注意点として痛みが強いときは無理をしないようにしましょう。

④ 体を冷やさない

冷えは筋肉を硬くし、血流を悪化させるため、できるだけ温かい服装を心がけたり、お風呂でしっかり温まることを意識しましょう。

4. 自宅でできるセルフケア

① 腰のストレッチ

背中や腰の筋肉を緩め、神経への圧迫を和らげます。

a 椅子に座った状態で、両足を開き背中を軽く丸めるように前かがみになる。

b 余裕がある場合は手で足首の後ろを掴みゆっくり息を吐きながらさらに前傾する。

c その姿勢で10秒キープし、ゆっくり戻る。これを5回繰り返す。

② お尻の筋肉をほぐすマッサージ

お尻や股関節の筋肉がほぐれることで、動こうとした際の腰への負担が軽減し、痛みやしびれが和らぎます。

a 床やベッドに仰向けになる。

b テニスボール又はタオルを強く片結びしたものをお尻の下に入れる。

c 気持ちの良い程度の強さで体重をかけてセルフマッサージを行う。左右20-30秒ずつ

5. 脊柱管狭窄症への当院の考え

医療機関にて脊柱管狭窄症の診断を受けている方であっても、トリガーポイント施術や鍼灸施術によって症状がかなり改善される例があります。

当院の方針としては

・腰部脊柱管狭窄症と診断されていても、常時痺れてはいない、間欠性跛行(かんけつせいはこう)も無い又は軽度の場合

→症状が出ている原因に対して施術し根本的な解決を行なっていく。

・常に強い痺れ、間欠性跛行の症状が重度の場合

→鍼通電療法などを用いてとにかく今の症状を改善し、患者様の生活の質を改善していく。

という方針で施術を行うことが多くあります。

6. 当院での実際の施術

① 鍼施術

腰部脊柱管狭窄症では圧迫されている神経の根元や症状の出ている箇所に鍼施術を行います。

例えばふくらはぎに痛みや痺れが出ている場合には

・腰や骨盤周囲(下図の赤丸)

・膝裏やふくらはぎ(脛骨神経) (下図の四角)、太もも裏

に鍼を刺入し電気刺激によって神経を刺激します。

理由としては脊柱管狭窄症により圧迫されている神経を腰の部分と末端の足先の部分で刺激することで神経の血流量を改善することを目的としています。

② トリガーポイントマッサージ

脊柱管狭窄症などで腰だけではなく下半身に痛みや痺れがある方に症状のある場所だけではなく、その周りなどのマッサージを行うことがあります。これは痛む場所とは違う部位が原因で痛みが出現している場所『トリガーポイント』を施術しています。

例えば腿とお尻の境目や膝裏、殿部などがトリガーポイントとなっていることが多いため、問診と検査を丁寧に行い、適切な施術を行います。

③ ストレッチ指導

セルフケアの項目にもありますが、脊柱管狭窄症の改善や予防にはストレッチを行い、普段の姿勢を改善していくことが重要です。

腰のストレッチだけではなく、腰に負担をかけないために下半身のストレッチも必要です。

例えば、デスクワークや運送業で座っている時間が長い方は、太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)が硬くなりやすく、骨盤が前に傾いて腰への負担が増えてしまいます。そのため、大腿四頭筋を伸ばすストレッチを指導し、腰の負担を軽減していきます。

④ 姿勢、動作指導

脊柱管狭窄症の症状の有無は普段の姿勢も関係します。

例えばお腹が出て腰が反り過ぎている姿勢では、腰の神経の出てくる部位への負担が増えてしまいます。

他にも姿勢で気をつけるポイントは様々あり、丁寧に問診を行い日常動作の中で気をつけることや、改善が必要なポイントなどをお伝えし、負担の少ない体の使い方の指導も行なっています。

7 まとめ

脊柱管狭窄症は、加齢や生活習慣によって発症しやすい疾患ですが、適切なケアを行うことで症状を改善できることが少なくありません。

また、日常生活での姿勢の改善や適度な運動、セルフケアを継続することも大切です。少しずつ習慣を見直し、痛みのない快適な生活を目指しましょう。

当院では鍼灸やトリガーポイントマッサージによる施術のほか、脊柱管狭窄症の症状を改善するためのセルフケア指導なども行なっております。

お悩みの方はぜひ一度ご相談ください。

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