足の疲労骨折(ランナー向け)
~スネや足の指の痛みは疲労骨折のサイン?~
ランナーに多いスポーツ障害について今までも多くの記事を書いてきたこともあってか、山王鍼灸整骨院をご利用していただいているランナーの患者さんが結構見られます。
ランナーの皆さん!
「走るとすねがズキズキする」
「足の指の付け根が痛いけど我慢すれば大丈夫?」
そんな症状を軽く見てはいけません。
ランナーに多く見られる疲労骨折の可能性があるからです。
疲労骨折は、骨にかかる軽度の負荷が蓄積して起こる骨のひびです。
放っておくと、完全な骨折に進行したり、競技復帰までに数ヶ月かかることもあります。今回は、特にスネ(脛骨)や足の指(中足骨)に起こりやすい疲労骨折に注目し、原因から予防、セルフケアのポイントまで詳しく解説します。
1. 疲労骨折とは?ランナーに多いスネや足の指の痛みの原因を解説
疲労骨折は、1回の大きな外力ではなく、繰り返される軽度のストレスで起こります。
大学生長距離選手を対象としたある調査で下半身に多い疲労骨折として
・脛骨(スネ)
・大腿骨
・中足骨(足の甲・指の付け根):特に第2・第3中足骨に多い
・腓骨(外側の細いスネの骨)などが挙げられます。
なぜランナーに多い?
・長距離を走ることによるオーバーユース(使いすぎ)
・硬い地面や不適切なシューズによる負荷
・睡眠不足や栄養不良による骨の回復力低下
特に女性アスリートや成長期の中高生ランナーは、ホルモンバランスや骨密度の影響でリスクが高いとされています。
2. 疲労骨折の症状チェック:ランナーが見逃しやすい3つのサイン
疲労骨折は、初期では「ただの痛み」と思われがちです。
しかし以下のサインがある場合は要注意です。
① 押すと痛む「圧痛点」がある
疲労骨折は特定の部位がピンポイントで痛むのが特徴です。
広い範囲ではなく、指1本分の範囲でズキッとくるような痛みがある場合は注意が必要です。
② 走った後に痛みが強くなる
走っている最中よりも運動後や翌朝に痛みが出ることがあります。これは走った後の炎症が波及していることに関係があるとされています。
進行すると歩行時や安静時にも痛みます。
③ 痛みが何日も続く、悪化する
筋肉痛であれば通常は2〜3日で改善しますが、1週間以上痛みが持続する場合は医療機関の受診をおすすめします。
3. 部位別で見る疲労骨折:スネ(脛骨)・足の指(中足骨)の特徴
① 脛骨の脛骨の疲労骨折(シンスプリントとの違い)
・内側の中央〜下1/3に多い
・シンスプリントは骨膜の炎症が中心で、広範囲に痛みが出るのに対し、疲労骨折は点状の痛み
② 中足骨の中足骨の疲労骨折(特に第2.3中足骨)
・足の甲の中央、踏み出し時に痛む
・ハイアーチや硬い路面での練習でリスク増
・マーチ骨折とも呼ばれ、軍隊行軍で発見されたことに由来
③ 女性は特に注意が必要?
女性ランナーにおける疲労骨折の発生率は、競技レベルの選手で最大45%に達するとの報告もあります。特に、低BMI、月経不順、カルシウム不足が絡む「女性アスリートの三徴候」は、疲労骨折のリスクを著しく高める要因とされています。
4. 疲労骨折になったら?
① 医療機関での対応
・疑わしい場合は整形外科でMRI検査が有効
※初期はレントゲンで映らないことも多いため注意
・安静(2〜8週間)と段階的な運動再開
・超音波等の治療(骨癒合を早める)
② やってはいけないやってはいけないこと
・痛みをこらえて走る
・自己判断でストレッチや強めのマッサージを行う(骨に負担をかける可能性あり)
5. 疲労骨折の予防とセルフケア:ランナーが今すぐ実践すべき習慣
疲労骨折はある程度予防できる怪我です。
日頃から次のポイントを意識しておきましょう。
① セルフケア
・練習後はアイシングとリカバリーケアを徹底
・筋膜ローラー、セルフマッサージなどで筋の緊張をリリース(ただし痛みがある部位は避ける)
・週に1〜2日は完全休養日を設ける
② トレーニングと栄養の見直し
・月間走行距離を急激に増やさない
・食事ではカルシウム(乳製品)、ビタミンD(魚、きのこ類)、たんぱく質(肉・卵)を意識
③ 足部のケア
・アーチを支えるインソールの使用
・靴底のすり減りやクッション性を定期的にチェック
※最近ではカーボンソールが入ったものなどがあり、下半身への負担が大きくなっています。筋力不足のランナーや、スキルが未熟なランナーは特に注意が必要。
6. 山王鍼灸整骨院での実際のケア
① 鍼
下腿の疲労骨折では骨折部位の周囲の筋肉に鍼を行うことがあります。
特に疲労骨折から日が経ち慢性的な痛みに有効です。理由としては
・長期間の疼痛は周囲の筋肉を緊張させる。→鍼により筋緊張を緩和し血流を改善し痛みを緩和させる。
・鍼により筋肉の柔軟性を改善し筋肉が骨に付着する部分の負担を軽減する。
当院では鍼に電流を流す鍼通電療法を行います。
これにより筋肉を直接刺激することで治療の効果を最大限引き出します。
② 筋膜リリース
前提として疲労骨折の急性期(痛みがで始めた時期、痛みの強い時期)は安静や超音波治療など負荷をかけずに骨折による損傷を回復する治療を行います。
骨折ではないが違和感がある時期や急性期を過ぎたあたりでは筋膜リリースを行います。
鍼同様、長期間の痛みによって緊張した筋肉の緊張を改善し痛みや骨にかかる負担を緩和させる目的で行います。
また、慢性的に痛みが続いている場合にはトリガーポイントと呼ばれる損傷部位以外の箇所が原因の可能性もあるため損傷部位以外のマッサージを行うことがあります。
例として下腿(外くるぶしの上あたり)に痛みがある場合には腓骨筋がトリガーポイントとなっていることがあるため、問診と検査を丁寧に行い、適切な施術を行います。
③ ストレッチ指導
下腿疲労骨折の痛みの改善や予防にはストレッチを行い、下半身の筋肉の柔軟性を確保することが重要です。
前提として痛みの強い時期は安静が必要なので積極的なストレッチは行いません。
しかし疲労骨折の予防にはストレッチは重要となります。
筋肉の柔軟性が低下し可動域が低下してしまうとランニング時に衝撃の吸収ができず骨に大きな負荷がかかってしまいます。
またランニングは歩行に比べて大きな可動域が必要となります。
そのためストレッチによって筋肉の柔軟性を確保することで疲労骨折を予防します。
④ トレーニング、動作指導
股関節の筋力や可動域不足はランナーの疲労骨折に大きく関係します。
股関節の筋力や可動域が低下すると下腿(膝から下)の骨にかかる負担が増加します。
そのためお尻などの股関節の筋力を改善するトレーニングや可動域を改善するストレッチなどを行います。
7 まとめ
痛みは無理せず、早めの対処を!
スネや足の指の痛みは、疲労骨折の初期サインであることが少なくありません。
ランナーにとって、「走れなくなる」リスクを最小限に抑えるためには、早期発見と適切なケアが何よりも大切です。
大田区大森駅にあります、山王鍼灸整骨院では、フルマラソン、トレイルランニング、登山など経験豊富なスタッフがランナーの身体をトータルにサポートします。
痛みが出る前からのメンテナンスもお気軽にご相談ください。
★ 患者様情報
7月25日(金)日本最高峰のトレランレースでもある富士登山競争に日頃から体のメンテナンスで通院いただいている患者U様が出場されました。
富士登山競争は富士吉田市役所から吉田口登山道まで舗装路を走り、さらに吉田口0合目から富士山山頂3776mまで標高差3000mを4時間半以内でゴールしないと完走にならないというとてつもなく過酷な超人レースです。
1位は2時間36分というもはや信じがたいタイムでゴール!
ちなみに吉田口5合目から富士山山頂までの標準コースタイムは約6時間ですが、トップはその区間を1時間14分でゴールというもはや同じ人間とは思えないすごさです!
U様のほかフルマラソン、トレイルラン、登山、陸上競技などをされている患者様が多数ケガやメンテナンスで山王鍼灸整骨院をご利用いただいております。
これからも患者様の信頼に応えられるようスタッフ一同レベルアップしていきますので、今後とも山王鍼灸整骨院をどうぞよろしくお願いします。
山王鍼灸整骨院 代表 田中聡
【おまけの写真】
2023年8月13日伊藤真吾先生とともに市川本町から青木鉱泉まで途中ヒルに吸血されながら43kmを走った時のもの
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