8月のお盆休み期間は大田区大森山王地区の医療機関も夏休みのところが多い。
当院はスタッフが交替で休みを取る体制をとることで院自体は休まず診療していた。
すると始業前の準備中に顔面蒼白、冷や汗を流しながら
「整形が休みなので見ていただけますか?」と悲痛な面持ちで新患が飛び込んできた。
ぱっと見て肩関節脱臼だということは想定できた。
*視診 下がった脱臼側の腕を良い方の手で支えている
肩の三角筋の丸みが消失
*問診 転んで手を着いた
「腕がなくなった感じです」
*触診 上腕骨頭を烏口突起下部(鎖骨外側の下)に触知
*運動診 肩が固定されて動かない
*転んで手を着いたときに負傷することが考えられる橈骨遠位端骨折(手首近くの骨折)、肘の骨折・脱臼、鎖骨骨折がないことを確認
以上のことから肩関節前方脱臼と断定した
山王鍼灸整骨院はその名の通り、整骨(接骨)院と鍼灸治療院の両方を厚生労働大臣の認可を受け保健所に登録して施術を行っている。
整骨院の業務は骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷(肉離れ)であるが、骨折、脱臼が整骨院で応急処置できることはあまり知られていない。
患者様の冷や汗の量は半端ない。顔色もさらに蒼白に!
冷静かつ迅速に準備を整え整復開始。
速やかに整復するには患者様に肩の力を抜いていただくことがキモとなる。
患者様の協力の下、肩関節前方脱臼はポクラテス法で無事整復できました。
上腕骨頭がゴクンと元の位置の入る感覚は患者様も術者もはっきり分かります。
患者様は整復と同時に安堵の表情を浮かべ感謝の言葉をいっぱい述べられました。
こちらもほっと一安心。
三角巾で肩を吊って患部の安静を保ちます。
まれに関節唇など骨折を伴うこともあるので、念のためかかりつけの整形外科で受診していただきました。
整形外科の診断の結果、骨頭の位置も正常に戻っていると確認できてこちらも心底ほっとできました。まだ若干痛みもあるので腱板の損傷があるかもしれないとのことで後療のご同意もいただきました。
ロコモ南馬込整形クリニックの中村光一先生、ご高診ありがとうございました。